H16年度研究実績の概要 本年度において行った研究は以下の通りである。 1)アスピリン喘息患者の末梢血白血球におけるCRTH2の発現について CRTH2は、近年発見されたProstaglandinD2の受容体であり、Th2リンパ球の他好酸球に発現していることが報告されている。また、NSAIDsの一つであるindomethacinがCRTH2のagonistとして働くことが報告され、アスピリン喘息の病態に深く関わっている可能性が高く、また、アスピリン喘息と非アスピリン喘息とのin vitroによる診断に有用である可能性が考えられた。そこで、今回早急に検討を行った。 健常者6名、非アスピリン喘息患者6名およびアスピリン喘息患者5名を対象とし、末梢血を採取後多核白血球およびリンパ球を分離した。分離した多核白血球層に蛍光標識したCD16抗体およびCRTH2抗体、リンパ球層に蛍光標識したCD4抗体およびCRTH2抗体を添加し、フローサイトメトリーにて好酸球、好中球およびThリンパ球におけるCRTH2受容体数を測定した。その結果、アスピリン喘息患者では、健常者および非アスピリン喘息患者と比較して、好中球、好酸球およびThリンパ球におけるCRTH2の発現は多く、特に好中球では有意に多いという結果を得た。以上の結果より、CRTH2がアスピリン喘息の病態に深く関わっているものと考えられ、またアスピリン喘息患者のin vitroの診断に非常に有用であると考えられた。
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