本研究計画では、1年目にCpGモチーフを用い抗基底膜抗体腎炎およびANCA関連腎炎のモデルマウスの確立を目的とした。抗基底膜抗体腎炎モデルマウス作製にはGoodpasture症候群の原因とされているcollagen typeIV alpha3鎖NC1ドメインを用い、ANCA関連腎炎モデルマウス作製にはmyeloperoxidaseを用いた。Collagen type IVについては塩基数がおよそ800塩基で全長を大腸菌に発現させることが可能であったが、大量培養したところそのほとんどが不溶性分画に存在し、可溶性分画には極小量しか得られず免疫原として十分な量を得るにいたっていない。またmyeloperoxidaseに関しては塩基数がおよそ3500塩基でありその全長を大腸菌に発現させることは不可能であった。そこで国立感染症研究所の鈴木和男先生より全長のmyeloperoxidase組換え蛋白質の分与をうけた。Myeloperoxidaseについても可溶性にすることは困難であり、現在これらの不溶性蛋白質の免疫原性を高めるよう条件検討中である。 一方、モデルマウスの腎機能評価のためにポリクローナル抗マウスネフリン抗体を作製した。これはマウスネフリンの細胞内ドメイン前半部分を組換え蛋白質として大腸菌にて作製し、ウサギへ反復投与し得られた血清をアフィニティークロマトグラフィーにて精製して作製した。現在、ネフリンの染色態度と腎機能との相関についてSLEモデルマウスを用いて検討中である。
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