研究概要 |
1.等電点電気泳動法によるオリゴクローナルバンドの測定 Amersham社製のPhastSystemを用いて髄液および血清の等電点電気泳動を行い、免疫固定および銀染色を施して高感度にオリゴクローナルバンド(OB)を測定した。多発性硬化症(MS)59例で等電点電気泳動法と従来のアガロースゲル電気泳動法での陽性率を比較し、アガロースゲル電気泳動法では16.9%の陽性率であったが、等電点電気泳動法では54.2%に陽性率が上昇した。 2.髄液中のIgGサブクラスの解析(Neurology61(1):144,2004) MS髄液中のIgGサブクラスをELISA法にて測定し、通常型(CMS)、視神経脊髄型(OSMS)、正常対照でサブクラスの割合を比較検討した。CMSの髄液中ではIgG1の割合が上昇しており相対的にIgG2の割合が低下していた。IgG1 indexがIgG indexと有意な相関を示し、IgG1の上昇がIgG indexの上昇と関連していることを見出した。ウェスタンブロット法によりCMSのOBはIgG1によるものであることを証明した。OSMSの髄液中のサブクラスの割合は正常対照と差が無なく、この型ではIgG1反応の欠如がOBの陰性と関連していることが示された。 3.髄液中のケモカイン濃度の解析(J Neuroimmunol 149:182,2004) CMSおよぴOSMSの髄液中の4種類のケモカイン濃度をELISA法で測定し、病型間で比較した。CXCL10およびCCL17濃度は正常対照との比較においてCMS、OSMSのいずれも有意に上昇していた。CCL11はTh2に関与していると考えられるケモカインであるが、CMSで正常対照と比較して有意に低下していたが、OSMSでは低下が見られなかった。CMSとOSMSとの間に有意な差を示すケモカインはなく、両者において多くの免疫病態ぽ共通しているものと考えられた。
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