本研究は(1)多系統萎縮症(MSA)、(2)筋萎縮性側索硬化症(ALS)、(3)片頭痛といった神経系多因子疾患の臨床データベースを構築し、ゲノム情報を基盤とした連鎖解析、関連解析により疾患感受性遺伝子を同定することを目標としている。(1)多系統萎縮症に関しては、まず東京大学神経内科に入院歴のある患者約7000人の中からMSA患者87例について家族歴の調査をし、家系内発症倒1例、家系内にパーキンソン病(PD)を発症した患者2例を見出した。MSAとPDは病初期に鑑別が困難なこともあるので、家系内にPDが存在する症例にも着目して情報収集を行うことにした。全国の神経内科専門医3695名に対して郵送による大規模アンケート調査を行い、現在までのところMSA家系内発症例10家系、家系内にPDがいるMSA患者13例を見出した。結果は2003年の日本人類遺伝学会、アメリカ人類遺伝学会で発表し、2004年の日本神経学会でも報告する予定である。またMSAデータベースのフォーマットを完成し、現在データを蓄積しつつある。孤発性MSA患者に関しても多施設共同で検体採取を開始した。現在検体採取を行っており、来年度以降はゲノム解析も行う予定である。(2)筋萎縮性側索硬化症は日本全国規模のコンソーシアムができつつあるので、これに協力する形で研究を発展させていきたいと考えている。(3)片頭痛に関しては倫理申請書類が完成し、現在共同研究施設を最後の調整段階に入っている。片頭痛の臨床データベースのフォーマットも完成しつつある。来年度は精力的に臨床情報と検体の蓄積に努める予定である。
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