研究概要 |
1.初代培養グリア細胞におけるドパミンレセプター、トランスポーターmRNAの発現 ラット胎児中脳あるいは線条体からの初代培養ニューロンおよびアストロサイトにおけるドパミンレセプター(D1〜D5-R),ドパミントランスポーター(DAT)およびvesicle monoamine transporte-2 (VMAT-2)のmRNA発現をRT-PCRで検討した.中脳あるいは線条体ニューロンでは,D1〜D5-R,DAT,VMAT-2のすべてのmRNA発現が認められた.中脳アストロサイトでは,D1,D4,D5-R,DAT,線条体アストロサイトでは,D1〜D5-R,DAT,VMAT-2のすべてのmRNA発現が認められた. 2.初代培養グリア細胞におけるドパミンレセプター、トランスポーター蛋白の発現 さらに,ドパミンレセプター,DATおよびVMAT-2の蛋白発現をWestern blot法により検討した.中脳ニューロンでは,D1〜D5-R, DAT, VMAT-2のすべての発現が認められ,線条体ニューロンでも,D4-R, DATを除く蛋白発現が認められた.中脳および線条体のアストロサイトでは,D4, D5-R, DATの発現がニューロンでの発現に比して弱いものの認められた. 3.アストロサイトにおけるドパミンレセプターを介した二次情報伝達系 初代培養アストロサイトをあらかじめ各種ドパミンアンタゴニストで前処置しておき,さらにドパミンを添加し,リン酸化CREBの変化をみた.ClozapineおよびL-745,870処置により,ドパミンにより誘導されるリン酸化CREBの増加は抑制された.以上より,アストロサイトではD4-Rを介した二次情報伝達系が存在する可能性が示された. 4.パーキンソン病モデル脳のグリア細胞におけるドパミン取り込みとL-DOPA短期投与の影響 6-OHDA注入による片側パーキンソン病モデルラットにlevodopa/carbidopa (50/5mg/kg)を1週間連日投与し,最終投与3時間後の脳凍結切片を用いて抗ドパミン抗体,抗ドパミントランスポーター抗体および抗GFAP抗体による蛍光二重染色を行った.L-DOPA投与によりパーキンソン病モデル傷害側のアストロサイトでのドパミンの取り込みおよびトランスポーターの発現増加が認められた.傷害時に過剰のドパミンがアストロサイトに取り込まれることを明らかにできた.
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