平成15年度は、本学倫理委員会の研究計画書、患者説明文書を提出し、研究計画の倫理性ならびに遺伝子情報管理の適格性について審査、承認を受けるとともにその指示に従って必要書類を作成し、院内における検体の流れと盲検性の確保について体制を整えた。また、エストロゲンα受容体(ERα)SNPの検出法の妥当性を検証するために、健常ボランティアの白血球からDNAを抽出後、目標とするイントロン1のTC(TT、TC、CC)およびAG(AA、AG、GG)SNPについて、それぞれを認識する制限酵素PνuII、XbaIで処理し、アリル特異的DNAプライマー用いたPCRによって増幅したところ、既報のごとく各SNPに一致するバンドを検出した。このことから、本法がこれらのSNP検出法として妥当であることを確認した。一方、申請時のマルチスライスCT(MSCT)は4列であったが、その後16列に切り替えられたことから、旧機種と新機種における冠動脈石灰化指数(CS)の計算値につき、整合性の検討を行った。すなわち、旧機種で得られた60例の糖尿病患者におけるCS値をもとに、両機種における測定値の誤差を検討しほぼ一致する結果を確認するとともに、誤差についての対処法を考案した。同時に、これらの症例において脈波速度、血中炎症性サイトカイン(IL-6、高感度CRP)、アディポネクチンとCSとの関係を検討したところ、CS100-400の範囲において、CSは従来の冠動脈疾患のリスク因子ときわめて密接な相関を示すが、それ以上の値については必ずしも不安定病変の存在を示すとは限らないことを明らかにした。これらの結果に基づいて検査体制を整備し、確立した。現在すでに対象症例のリクルートを開始しており、次年度は成績の解析が主たる作業となる予定である。
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