1.XIII因子欠損マウスの性状:突然死したXIII因子欠損マウスの病理学的解析 突然死したXIIIA-/-雄マウス11匹(今年度)のうち3匹に胸腔内出血と心嚢血腫が見られ、残る8匹についてもヘモジデリン沈着を伴ったfibrosisや心筋内でのinterstitial hemmorrhage等、心臓組織における出血性の病変が観察された。XIIIB-/-雄マウスについては1匹のみが突然死したが、このマウスにおいてもヘモジデリン沈着を伴ったmyocardial fibrosisが認められた。また、2匹のXIIIA-/-雌マウスが交配/妊娠中の子宮からの出血を伴って死亡し、そのうち1匹にmyocardial fibrosisが確認された。 2.遺伝子治療の検討 ヒトXIIIAもしくはXIIIB cDNAを組み込んだアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-FXIIIA、AAV-FXIIIB)を1x10^<10>、3x10^<10>、1x10^<11>v.g./mouseと量を変えてXIII因子欠損マウスの前脛骨筋に注入し、血漿XIII因子量の変化を経時的に検討した。XIIIB欠損マウスに1x10^<11> v.g./mouseのAAV-FXIIIBを注入した場合、注入4日後の血漿に極微量のXIIIBの発現を認め、わずかながらXIIIAの増加も観察されたが、注入10日後にはXIIIBは消失していた。一方、XIIIB欠損マウスにAAV-FXIIIAを注入した場合には、いずれのtiterにおいてもXIII因子の増加は検出されなかった。XIIIA欠損マウスについては、AAV-FXIIIA、AAV-FXIIIBいずれを注入した場合とも血漿XIII因子の増加は観察されなかった。このように、脛骨筋に注入した場合には治療効果は極めて低かったので、尾静脈からの注入法に切り替えた予備実験を継続中であり、現在結果を解析しているところである。
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