研究概要 |
申請者らはこれまでに、好酸球増多マウス(IL-5トランスジェニックマウス、以下1L-5TGマウス)に肝ガン細胞を移植し、LPSにより好酸球を刺激すると、抗腫瘍効果を示すことをin vivoで認めており、このとき、好酸球によるTNFαの産生が増強していることをin vitroで確認していたが、今年度は、eotaxin遺伝子導入細胞癌に対するエフェクター細胞を検討したところ、1L-5TGマウスにおける抗腫瘍効果は1L-5α抗体で抑制されるが、抗CD4、抗CD8抗体では抑制されないことから、T細胞主体の腫瘍免疫が働きにくい状況で好酸球が抗腫瘍効果を示すことが示唆された。またIL-5TGマウスと同系統マウスより樹立された乳ガン細胞については好酸球増多マウスにガン細胞を移植しガン細胞増殖に対する好酸球の影響を検討したが、顕著な抗腫瘍効果は認められていない。 血液凝固因子であるフィブリノーゲン刺激に対する好酸球による炎症性サイトカインの産生を検討したところIL-1α、IL-4産生が増強し、TGF-alphaの産生は減少した。IL-1α、IL-4産生が増強することより、好酸球が傷の治癒にも関与している可能性が示唆された。 培養細胞にtoll-like receptor遺伝子、およびtoll-like receptorのレポーター遺伝子を導入して発現させ、寄生虫(Leishmania major, Leishmania amazonensis)によりtoll-like receptorを介したシグナル伝達が起きるかどうかを調べたところ、toll-like receptor4を介したシグナル伝達があることがわかった。
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