臍帯血からマグネティックビーズ法を用いてCD34陽性細胞を純化し、インターロイキン3、stem cell factor、EPO存在下に7日間培養し、CFU-Eレベルに分化させた細胞を得た。その細胞にGFP発現ベクターを種々の条件で遺伝子導入し、導入効率と遺伝子導入細胞の生存率を蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリーにて解析し、至適条件を検討中である。条件決定後、GFP発現ベクターに組み込んだFKHRL1の恒常活性型、優位抑制型変異体を遺伝子導入し、細胞周期、アポトーシスの相違を検討する。 同時に、GATA-1のプロモーターの下流に、FKHRL1の恒常活性型、優位抑制型変異体を組み込んだトランスジーンを構築し、トランスジェニックマウスを作製中である。優位抑制型トランスジェニックマウスは、正常分娩にて産出され、野生型と比して、体重と発育状態は著変なかった。今後、母数を増やし、定常状態、及び抗癌剤負荷後の末梢血液、骨髄所見の差異について、解析を進める予定である。一方で、恒常活性型を発現させたマウスは、正常に産出されず、帝王切開を施行したところ、蘇生不可能な、小型の胎児にトランスジーンの発現を認めた。各臓器でのトランスジーンの発現の程度については未確認である。現在使用している恒常活性型は、Aktによるリン酸化部位を3塩基ともにアラニンに置換しているが、置換部位を1-2カ所にした、恒常活性化能を調節した変異体を用いて比較することも検討している。
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