• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

低酸素シグナルによるリンパ球機能制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15790509
研究機関東京大学

研究代表者

牧野 雄一  東京大学, 医科学研究所, 助手 (90345033)

キーワード低酸素 / 転写因子 / T細胞 / T細胞受容体 / 活性化細胞死 / アポトーシス / HIF-1α
研究概要

生体内外の環境の酸素濃度には大きなグラジエントが存在する。リンパ球などの免疫担当細胞は、生体内を広く移動し、極端な酸素環境の変動に曝されうる代表的組織といえる。さらに、免疫担当細胞が機能する場である炎症組織・腫瘍組織などにおいては、組織内酸素分圧が著しく低下しており、リンパ球などの細胞にとって、環境酸素濃度のダイナミックな変化に適応することは、細胞・組織の機能を維持するうえできわめて重要であるといえるが、そのメカニズムについてはほとんど明らかにされていない。低酸素によって活性化される転写因子Hypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α)は、細胞の低酸素環境への適応に重要な多くの遺伝子の発現を転写レベルで制御している。本研究は、低酸素がリンパ球の機能・形質にあたえる影響とその分子機構を明らかにすると共に、リンパ球機能制御、免疫応答制御におけるHIF-1αおよび低酸素シグナルの役割を明確にし、低酸素シグナル伝達システムを標的とする新たな免疫制御法開発の基盤を確立することを目的とするものである。
平成16年度研究実施計画に沿って以下の様に研究が展開された。
低酸素がリンパ球機能に与える影響の解明。健常人の末梢血より分離した単核細胞をPHAで幼若化したのちIL-2存在下で培養し、固相化抗CD3抗体で刺激し、活性化細胞死(AICD)を誘導する系を構築した。低酸素下ではAICDは有意に抑制され、T細胞の生存率は上昇した。かかる条件下のT細胞においては解糖系の亢進により、エネルギー産生が維持されていた。
リンパ球におけるHIF-1α発現の解析。上記のごとくAICDが抑制される培養条件下、すなわち低酸素環境下で、かつCD3刺激が共存する場合のみHIF-1αの発現が誘導された。かかるHIF-1α発現は翻訳のレベルで制御されていた。
リンパ球におけるHIF-1α発現の意義の究明。リンパ球においてHIF-1αはアドレノメジュリン遺伝子を誘導しAICDの制御に関与することが示唆された。一方、解糖系酵素、糖輸送蛋白遺伝子を誘導しエネルギー代謝の維持に重要な働きを果たしていることが示された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Physiological Activation of Hypoxia Inducible Factor - 1 in Human Skeletal Muscle2005

    • 著者名/発表者名
      Helene Ameln, Thomas Gustafsson, Carl Johan Sundberg, Kensaku Okamoto, Lorenz Poellinger, Eva Jansson, Yuichi Makino
    • 雑誌名

      FASEB.J (in press)

  • [雑誌論文] 低酸素シグナルによる末梢でのT細胞の制御2005

    • 著者名/発表者名
      牧野雄一, 森本幾夫, 田中廣壽
    • 雑誌名

      臨床免疫 43巻、1号

      ページ: 92-96

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi