研究概要 |
関節リウマチ(RA)滑膜組織でCX3CL1が発現され、そのレセプターであるCX3CR1陽性細胞の滑膜への浸潤がみられたことより、CX3CL1が炎症細胞浸潤に関与していることが疑われた。そこでRAのモデル動物の一つである、マウスコラーゲン関節炎に対して、抗マウスCX3CL1抗体またはコントロール抗体を投与し、関節炎抑制効果を検討した。抗CX3CL1抗体投与群では、コントロール抗体投与群と比較して、関節炎スコアは低値であり、関節炎の程度は有意に抑制された。また組織学的に炎症細胞浸潤は減少し、骨破壊も抑制された。血清中の抗コラーゲン抗体の産生には有意差はなく、また脾臓T細胞のコラーゲン刺激に対するIFN-γ産生にも、抗CX3CL1抗体投与は影響しなかった。次に脾臓Mac-1陽性細胞を蛍光ラベルし関節炎マウスにトランスファーし、関節滑膜への遊走を観察した。抗CX3CL1抗体の投与により、脾臓Mac-1陽性細胞の滑膜組織への遊走が抑制された。これらのことより、抗CX3CL1抗体は、関節滑膜組織への炎症細胞浸潤を抑制することにより、関節炎を抑制すると考えられた。CX3CL1阻害はRAの新規治療薬となる可能性が示唆された。 RA滑膜組織における、CXCL16の産生を解析した。RA線維芽細胞様滑膜細胞、およびマクロファージ様滑膜細胞よりCXCL16の発現がみられた。また、in vitroにおいて線維芽細胞様滑膜細胞よりCXCL16は発現され、TNF-α,IL-1β刺激によりその発現の亢進がみられた。これらのことより、CXCL16もRA滑膜組織への炎症細胞浸潤などに関与する可能性が示唆された。
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