研究概要 |
平成15年度の主な研究実績は,IL-4を遺伝子導入した樹状細胞(IL4DC)の機能的特徴をサイトカインの産生能から明らかにしたことと,さらに強力な免疫調整機能を有する樹状細胞を作成するため,動物レクチンであるGalectinのretrovirus producer cell lineを樹立したことである。 1.IL4DCによるIL-12/IL-23の産生:IL4DCをCD40 ligandで刺激したところ,IL-12p70蛋白をより高濃度に産生した。定量的mRNA解析によると,IL-12p35mRNAの発現は増加していたが,IL-12とIL-23の共通したsubunitであるp40mRNAの発現は低下していた。IL-23p19mRNAの発現もIL4DCで有意に低下しており,IL-23蛋白の産生能も低下していた。これらの結果より,Th1型免疫反応に重要であるIL-12とIL-23の合成は,IL4DCにおいては異なって制御されていることが示唆された。 2.Galectinのretrovirus producer cell lineの樹立:マウスGalectin-1,Galectin-3,Galectin-9のcDNAを,pRET6 retrovirus vectorにサブクローニングした。それぞれのvectorを燐酸カルシウム法にてPhoenix packaging cell lineに導入し,その培養上清中のretrovirusを用いて,GP+E86 packaging cell lineを感染させ,retrovirusのproducer cell lineを樹立した。さらにProducer cell lineを用い,NIH3T3 cell lineにGalectinを遺伝子導入した。現在,その培養上清中にGalectin蛋白が産生されていることを確認中である。
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