免疫抑制因子を遺伝子導入した樹状細胞(DC)は、T細胞を特異的に抑制することによって、自己免疫疾患に対する新しい治療法となり得る可能性がある。我々は抗炎症性サイトカインであるIL-4を遺伝子導入したマウス骨髄由来DCの実験自己免疫疾患モデルにおける治療効果を明らかにしてきた。本研究においては、さらにIL-4導入DCの機能的特徴を検討した。 1.IL-4導入DCのin vivoにおける抗原特異的免疫反応成立に及ぼす効果の検討: 抗原としてKLH (keyhole limpet hemocyanin)にてパルスしたIL-4導入DCをマウスに皮下注射し、所属リンパ節における抗原特異的免疫反応をサイトカイン産生パターンにて解析したところ、Th2型免疫反応がより強く誘導された。また、IL-4導入DCにて誘導された遅延型過敏反応の程度を足底部の腫脹反応にて解析したところ、controlとしたDCによるものより有意に低下していた。 2.IL-4導入DCのサイトカイン産生能: IL-4導入DCをin vitroにおいてLPS及びCD40 ligandで刺激したところ、IL-12p70蛋白をより高濃度に産生した。Real-time PCR法による定量的mRNA解析によると、IL-4導入DCにおいては、IL-12p35mRNAの発現は増加していたが、IL-12とIL-23の共通したsubunitであるp40mRNAの発現は低下していた。IL-23p19mRNAの発現もIL-4導入DCで有意に低下しており、IL-23蛋白の産生能も低下していた。 以上の結果より、IL-4導入DCはIL-12産生能の増加に関わらず、Th1型自己免疫疾患を抑制し、Th2型反応を誘導することが明らかとなったが、一部にはIL-23産生能の低下が関与している可能性が示唆された。
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