第一に我々は微生物由来DNAが関節炎の発症に関わるかどうかを検討するため、免疫刺激性DNA (CpG-DNA)を合成し、タイプIIコラーゲンマウス関節炎モデルに投与し、関節炎の発症を観察した。タイプIIコラーゲンをComplete Freund Adjuvant (CFA)と共に投与した群(C II/CFA)を陽性コントロールとし、タイプIIコラーゲンをIncomplete Freund Adjuvant (IFA)と共に投与した群(C II/IFA)と比較すると、C II/IFA群ではC II/CFA群より関節炎の程度が低かった。IFAに免疫刺激性合成DNAを混じてタイプIIコラーゲンと共に投与した群(C II/IFA/CpG-DNA)ではC II/CFA群と同等かそれ以上の関節炎を発症した。以上の結果から関節炎の発症に微生物由来DNAが関わっている可能性が示唆された。 第二に我々はCpG-DNAの一部をメチル化することによって、CpG-DNAに対し抑制的に作用する合成DNA (anti-CpG-DNA)を作成した。In vitroで抗原提示細胞をCpG-DNAと共に培養するとinterferon-12を始めとする種々のサイトカインが誘導されるが、我々が作成したanti-CpG-DNAはCpG-DNAの免疫刺激作用を抑制する傾向のあることが観察された。現在anti-CpG-DNAの抑制作用を既報告の抑制性DNAと比較検討中であるが、これまで報告されたどの抑制性DNAよりも強い免疫抑制作用のあることが示唆されている。
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