研究概要 |
平成15年度までに、t(1;19),t(12;21)の急性リンパ芽球性白血病(ALL)それぞれ、6,7例について臨床サンプルから全RNAを用いて、オリゴヌクレオチドアレイ(GeneChip, Affymetrix社)によって約12000の遺伝子発現プロファイルを得た。また、昨年度に得られている11q23転座のALL23例の遺伝子発現プロファイルをともに解析を行った。遺伝子発現を主成分分析した第3次までの軸を用いサンプルをプロットすると、3種の転座型に従って明瞭に分類された。同様に2方向クラスター解析によっても、同じ転座のタイプを持つサンプルが同じ樹形図の元に集まるという結果となった。 その後,Significance Analysis of Microarrays(SAM)法により、それぞれの転座グループに特異的に発現の高い遺伝子群を抽出した。この結果、ランダム並び替えテストでt(1;19)で1099個、t(12;21)で511個の遺伝子の発現パターンは有意に異なっていた。より発現差の高いスコアを示す遺伝子のリストを検討すると、t(1;19)群でFLI-1が高く,GATAやTAL-1を介した血球分化に影響している事が考えられる。またt(12;21)群ではBMP2,MADH1の遺伝子発現が高くTGF pathwayの関与が考えられる。 今後はそれぞれの群に高発現上位の遺伝子リスト数百個についての解析を開始する。具体的には文献情報からの遺伝子の関係性の抽出。またSVM法になどにより、遺伝子発現パターンからのサンプルの判定などの教師尽き判定アルゴリズムの開発を行う。
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