研究概要 |
1.膜結合型重鎖(IgG、IgA、IgM)を特異的に増幅するプライマーを設定し、膜型免疫グロブリンのmRNAの発現をPCR法を用いて半定量的に解析し、分類不能型免疫不全症(CVID)のin vitroでのIgG、IgMの産生がないグループのものがさらに細分化できることを明らかにした。さらに健常人ならびにX連鎖無ガンマグロブリン血症、高IgM症候群などの患児と比較検討し、我々の確立した方法が、CVIDの補助診断に有用であることが明らかになった。 2.IgA欠損症の患児において、RT-PCR法を用いてI alpha germline transcript, alpha circle transcriptおよびC alpha mature transcriptの発現を比較検討し、ともにIgAへのクラススイッチに異常を認めたが、一次性と二次性IgA欠損症の患児ではその障害部位が異なることを明らかにした。 3.高IgM症候群の孤発例においで、その病因がAID(Activation-induced cytidine deaminase)遺伝子のexon5のpoint mutation(R190X)であることを同定した。AID遺伝子の変異は他にいくつか同定されているが、dominant negative formの報告例はこれが最初である。 4.分類不能型免疫不全症の患児から末梢血単核球(PBMCs)を採取し、DNAチップにて解析を行った。この結果、健常人と比較して発現の低下している複数の遺伝子が確認され、現在これらの遺伝子の変異の有無の確認やcharacterizationおよび機能解析を行っており、興味ある結果が得られた。
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