ライソゾーム病の神経変性と免疫系の関与については、Krabbe病やTay-Sachs病、Sandhoff病ではモデルマウスでの報告が、Gaucher病では患者血清での報告がされている。既にGaucher病患者およびその他のライソゾーム病患者の皮膚線維芽細胞における培養上清中の炎症性サイトカインについてELISAにより検討し、Gaucher病とGM_1ガングリオシドーシスの少なくとも一部の患者においてinterleukin(IL)-6およびIL-8の産生増加を認めている。現在、Gaucher病患者、特に異なる遺伝子変異をもつ症例の皮膚線維芽細胞を他大学の協力を得て収集中であり、遺伝子変異、病型または重症度との関係について症例数を増やした検討を実施中である。また遺伝子変異の数が多いGM_1ガングリオシドーシスについても患者培養皮膚線維芽細胞を収集中である。 Gaucher病の変異酵素蛋白を安定化することにより酵素活性を上昇させる低分子基質類似体に関しては、患者培養皮膚線維芽細胞を用いて14種類の類似体についてその活性上昇作用を調べ、作用の強い類似体を探し至適投与濃度の検討を行った。その結果を患者皮膚線維芽細胞培養上清中のサイトカイン濃度と比較したところ、サイトカインの上昇パターンが異なる患者間で酵素活性を上昇させる至適類似体および至適投与濃度が異なっていることを発見した。今後、サイトカインが上昇していた遺伝子変異をもつ培養皮膚線維芽細胞に対してその低分子基質類似体を投与し投与前後のサイトカインの変化を検討する予定である。
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