小児膠原病患者における自己抗体対応抗原タンパク質の解析 平成15年度に引き続き、HEP2細胞の培養を行い、細胞成分の抽出と核蛋白成分の抽出と患者血清を用いた自己抗体対応抗原蛋白質の解析に従事した。 ・まずHEP2細胞の培養後、核蛋白成分と細胞質成分に分離し、それぞれの蛋白成分を2次元電気泳動し蛋白のスポット展開を行った。HEP2細胞の培養ロット間でのスポットの出現を比較したところ、ロットによりスポットの発現に差異が認められた。このため同一ロットを用いて、全身性エリテマトーデス患者血清の分析を行った。患者血清でのスポット検出が、少検体量のため明らかなスポット同定ができなかった。 ・次に患者血清からIgG分画とアルブミンをIgGアルブミン除去カラムを用いて除去し、を2次元電気泳動を行い、疾患に特異的な蛋白スポットの同定を行った。患者血清を疾患発症期と回復期の2点で比較を行った。川崎病患者血清を用いて検討を行った。患者血清からIgG分画とアルブミン分画を除去した後、Cy5とCy3の蛍光色素で標識を行い2次元泳動を行った。その後、各スポットの蛍光を蛍光スキャナを用いて検出し、急性期と回復期での比較を行った。その結果、急性期に特異的な蛋白スポット171個を検出した。スポットはそれぞれアポリポ蛋白、急性反応蛋白、補体であった。しかし、蛋白を同定できないスポットが40個認められた。これらの結果から川崎病の炎症に特異的なスポットの存在が明らかとなった。 今後も同研究で得られた未知のスポットの解析を継続して行っていくこととし、現段階までの成果を論文としてまとめ海外雑誌に投稿する準備をしている。また、今後、その他の小児リウマチ性疾患についても同様の手法を用いて行っていきたい。
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