研究概要 |
【目的】活性化酸素がまったく産生されないCGD患者にST合剤やインターフェロンγを投与したときにみられる臨床的改善の機序を過酸化水素とNOとproteaseとの代謝の面から探ることである。今年度は関西医科大学小児科研究室に現有のフローサイトメトリーを用いて、好中球過酸化水素産生量を新しい過酸化水素を検出する試薬である 2-[6-(4'-hydroxy)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzoic acid(HPF) と2-[6-(4'amino)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzole acid(APF) を使用して測定した。なおHPFはOH^-,ONOO^-をAPFはOH^-,ONOO^-,OCl^-だけ検出する試薬である。 【方法】健康成人の全血100μlにPBS浮遊ブドウ球菌850μlを加える。HPFあるいはAPF(2μl)をPBSで50μlに希釈したものを加えて全量1,000μlとする。30分インキュベーションする。時間経過後溶血処理をしてflow cytometerにかける。 【結果】ブドウ球菌を添加してインキュベーション後無刺激と比較してHPFは1,658倍蛍光強度が増加した。またNO阻害剤のL-NAMEを添加して後は540倍と阻害された。これはONOO^-分が消去されたため蛍光強度が減少したと考えられた。同様にAPFはブドウ球菌刺激により489倍増加し、L-NAME添加により230倍まで阻害された。 【考察】APFあるいはHPFを使用することにより全血を用いた好中球中の過酸化水素を測定することができた。しかもL-NAMEでNOによる影響を消去することができることを確認した。今後はCGD患児の血液をAPFあるいはHPFを使用して測定することにより、どの過酸化水素の産生が減少しているか明らかにしていく予定である。
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