ヒト21番染色体q22.2上に座位するsingle-minded 2(SIM2)遺伝子の機能解析を行った。今回SIM2蛋白質の細胞内局在およびSIM2蛋白質の新たな核移行シグナルについて検討を行った。pEGFP-N1ベクターへSIM2完全長(aa666)および種々の領域を組み込んだ変異体を作製し、HeLa細胞、T98G細胞、MCF7細胞へ導入し発現させてGFP融合蛋白質の局在の変化について蛍光顕微鏡を用いて解析した。GFP融合蛋白だけではなくN末端融合蛋白をHAやFLAGタグを用いて作製し、SIM2蛋白質の核局在を確認した。同時にSIM2のホモログであるSIM1についても同様に完全長アミノ酸(aa765)および欠失変異体を作製し検討を行った。結果SIM2において367番のArgから389番目のGlnまでの23個のアミノ酸領域、SIM1においては367番のArgから388番目のProまでの22個のアミノ酸領域を核移行の最小領域として同定した。さらにSIM2蛋白質において367番〜389番目のアミノ酸をAla及びGlyに変異させた変異体を用いて細胞内局在を検討した結果、367番のArg、373番目のLys、385番目のPro、386番目のTyrの4箇所を変異させることで核移行が起りにくくなる事、またこの23個のアミノ酸を欠失させた変異体では核局在が起らなかった事から、SIM2においてはaa367〜389、SIM1においてはaa367〜388の領域が新規核移行シグナルとして機能すると決定した。これらの領域は塩基性アミノ酸に富む領域で(RKxxKx(K/R)xxxxKxKxRxxPY)ヒト以外の種において単離されているsim遺伝子でも非常に良く保存されていることも分かった。今後、マウス胎仔を用いたin vivoプロモーターアッセイを確立し、発現分布解析について行う予定である。
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