Ca2+ホメオスタシスに関与している酵素として、その異常が角化異常をきたすダリエー病の原因となっているCa2+ATPase (SERCA2b)について、現在まで、報告されている点変異遺伝子異常をKOD-plusキットを用いて、SERCA2b遺伝子を発現ベクターのpMT2に導入し、これをCOS1細胞に導入し、その機能解析を行っている。15種類は発現量が正常SERCA2bの20%以下であり、遺伝子異常が蛋白発現をおこせないと考えた。さらに20種類の遺伝子異常はATPase活性が低値であり、酵素として発現するも、そのATP分解機能に異常があると考えた。10種類はカルシウムの取り込みが低値であり、酵素のカルシウム結合・輸送に異常があると考えた。4種は発現量、ATPase活性、カルシウム取り込みは正常であり、さらに、この酵素の反応サイクルで形成されるリン酸化中間体の形成速度などの酵素の速度論的解析や、小胞体内外からのカルシウム濃度を変化させたときの親和性の変化なども検討中である。また、正常角化細胞へ同様の異常遺伝子を導入し、正常皮膚での変化も来年度検討し、正常角化におけるカルシウムのホメオスタシスについて検討を加える。
|