15年度はまずマウスの様々な組織におけるHornerinの発現をProfilaggrinの発現と比較し検討した。以前施行したノザン解析でHornerin、Profilaggrinとも舌、食道、前胃、皮膚に発現していたので、これらの組織を用いて免疫染色法によりその局在を調べた。さらに定量的PCR法により発現量も調べた。これらの蛋白質はいずれの組織においても角層下の顆粒(ケラトヒアリン顆粒)に発現がみられたため、免疫電顕法を用いてさらに詳細な分布を調べた。この結果はJ.Histochem.Cytochem(2003)に報告した。 さらにヒトゲノムのデータベースを用いてHornerinのヒトホモログを検索した。その結果ヒト染色体1q21上にHornerinのヒトホモログを同定した。この遺伝子は2850アミノ酸をコードしており、セリン(34%)とグリシン(25%)を多く含んでいる。アミノ酸配列より推測されるhornerinタンパク質の構造は、N端にCa^<2+>結合ドメインであるEF-handドメインが存在し、約240アミノ酸を1単位とする多数の反復配列が続いており、マウスhornerinやヒト・マウスprofilaggrinと類似していた。 RT-PCR法によりヒトにおけるhornerinの発現を検討したところ、正常外陰部皮膚と尋常性乾癬患者から得た皮膚で発現が確認された。同時に施行した背部正常皮膚、胎児皮膚、舌では発現が認められなかった。また、ヒトhornerinの一部の配列を用いペプチド抗体を作製した。この抗体を用いて免疫染色を施行した結果、乾癬患者より得た皮膚の表皮顆粒層の位置に一致して発現が確認された。
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