研究概要 |
人種による皮膚の色の違いは、遺伝子のどこに違いがあるのか、遺伝学的に明らかにする目的で、メラニンの生成経路における律速酵素であるチロジナーゼの遺伝子の比較を、まずインド人と日本人について行った。 本研究では日本人の健常人109人、インド人の健常人103人を対象にチロシナーゼ遺伝子のエクソン、エクソン周辺及びプロモーターの全配列を解析し、チロシナーゼ遺伝子配列データベースを作成した。具体的には、集めたDNAを用いて、PCRによりチロシナーゼの各エクソン、エクソン近傍及びプロモータ配列をそれぞれ増幅精製した後、名古屋大学共通機器センターに設置されているBeckman Coulter社のCEQ2000XLを用いてDNAの配列を決定した。 その結果、日本人集団のtyrosinase遺伝子のプロモーター領域-317に、およびイントロン2のIV2-21ins.Tに日本人集団特有のpolymorphismが見い出された。一方イントロン2にIV2+24ins.T,のインド人集団に特有のpolymorphismが認められた。またプロモーター領域-199には両集団共にpolymorphismが認められた。さらにExon 1の-5,269,575,Exon 4の1205,Exon5の1379にはインド人集団に特有のpolymorphismが、Exon 1の133,373,Exon 3の1167,には日本人集団特有のpolymorphismが見い出された。 これらの結果は2つの集団における新たなtyrosinaseの病的な遺伝子変異の判定に役立つ。
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