研究概要 |
(1)トランスジェニックマウスを用いた基底細胞癌の解析 full length Gli2を用いたトランスジェニックマウス(K5-Gli2.マウスK5Cre;Z/AP-Gli2マウス)に加え、Gli2遺伝子のrepressor domainを欠いた変異遺伝子(ΔNGli2)を用い作製したマウス(K5Cre;Z/AP-ΔNGli2マウス)の3種類のトランスジェニックマウスを比較検討した。いずれのマウスにおいても基底細胞癌の形成がみられることを確認した。full length Gli2を用いたマウスでは出生後7ヶ月頃に腫瘍が見られはじめるのに対し、K5Cre;Z/AP-ΔNGli2マウスでは出生後3ヶ月前後より肉眼的に腫瘍が認められ、さらに形成される腫瘍の数も多く、個々の腫瘍の増殖も早いことがわかった。また、Gli1,Ptc1などをマーカーとして用いたin situ hybridization法など組織学的な解析を行った。これまでの解析の結果、K5Cre;Z/AP-Gli2マウスおよびK5Cre;Z/AP-ΔNGli2マウスは高率に基底細胞癌を発症し、今後の研究材料として非常に有用であることが明らかとなった。本研究はC.C.Hui博士(トロント大学)の協力、指導を得て行っている。 (2)ヒト基底細胞癌の解析 ヒト基底細胞癌の発生に関わる遺伝子の解析を行う目的で、基底細胞癌をはじめ有棘細胞癌、毛嚢系腫瘍の手術サンプルの収集(山口大学医学部倫理委員会での承認済)と解析に用いるマーカーの収集、作製を行った。 なお、結果の一部は、The 13^<th> Korea-Japan Joint Meeting of Dermatology(平成15年10月)、第132回日本皮膚科学会山口地方会(平成15年11月)、第39回日本皮膚科学会沖縄地方会(平成16年2月)に於いて発表した。
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