研究概要 |
本研究者らはこれまでに核内オーファンレセプターの一つ,Retinoid-related Orphan Receptorγ遺伝子欠失(RORγKO)マウスを用いた解析により,この遺伝子を欠失させると,1)全身のリンパ節,腸管のパイエル板の欠失,2)胸腺内でのT-cellの分化異常,3)T-cellリンフォーマの発症等を見いだし報告してきた.これらよりRORγは二次リンパ組織の形成に必要であり,T-cellの正常な分化に不可欠であることが明らかにされた. また皮膚はSALT(Skin Associated Lymphoid Tissue)と呼ばれる一つの免疫臓器と考えられており,ランゲルハンス細胞,樹状Tリンパ球,真皮内のリンパ球,マクロファージ,これに各種サイトカインを産生するケラチノサイトのクロストークにより皮膚表面に加わる抗原刺激と生体内部から皮膚に到達する抗原刺激に対し免疫現象を介して生体防御を行っている. しかし,RORγの皮膚における免疫システムのなかでの役割はまだ充分に解明されていない.皮膚における核内レセプターRORγの機能を解析するため,まずRORγ遺伝子の皮膚での発現を調べた.野生型マウスより皮膚を採取し,表皮および真皮でのRORγ mRNAを検出した.その結果,RORγは表皮において発現していることがわかった.また,RORγノックアクトマウスの表皮における12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)誘発皮膚炎の解析により,RORγの欠失が刺激性接触皮膚炎反応には強く関わっていないことが示唆された.
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