【ラット腹腔内肥満細胞を用いて、光照射が[Ca^<2+>] i変動に及ぼす影響を調べる。】 すでに確立したラット腹腔肥満細胞における[Ca^<2+>]_iと、顆粒放出の同時イメージング法を用いて、実験を行った。具体的にはラット腹腔肥満細胞にカルシウム感受性色素(Fluo-4)やフリーラジカル感受性色素(DAF2、Carboxy-PTI0)を負荷し、細胞外に放出顆粒基質染色性色素のスルフォローダミンを添加したCompound 48/80 (顆粒放出刺激)を加えて、[Ca^<2+>]_i変動、フリーラディカルおよび顆粒放出の動態を共焦点レーザー顕微鏡で同時イメージングを行った。 その結果、光照射により一酸化窒素などのフリーラジカルの生成が起こり、[Ca2^<2+>]_i上昇が抑制され、肥満細胞の顆粒放出抑制が生じることがわかった。 本研究は、皮膚アレルギー疾患、炎症性角化性疾患で用いられる光線療法、および光照射でガン細胞を殺傷するphotodynamic therapyの作用機序を考える上で重要なメカニズムにフリーラディカルが関与していることを示している。 今後、さらにアクチンフィラメントの重合、脱重合に及ぼす効果、あるいはCCE(capacitive calcium entry)に与える影響を調べる予定である。
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