研究概要 |
平成15年度は、予備実験として健常被検者10数名に対する事象関連電位P50の同定と発生源推定を行った。実験パラダイムを工夫し、まず提示刺激間隔を変えた方法(75msec.,150msec.,300msec.)を行った。これは刺激感覚によりP50抑制に変化が現れる可能性があるため、鑑別として刺激感覚を13段階に変化させた。平成16年度は統合失調症患者に同一課題を行う予定であるが、統合失調症でP50の抑制傷害が刺激間隔に影響されるか否かは興味深い。 これに加え、独自の対照課題「非注意P50」を作成して被験者によるデータを収集した。これは、本来聴覚性の刺激課題であるP50は、聴覚(音)刺激に注意を向けさせる課題であるため、TVモニターによる視覚(図形)提示を行い視覚刺激に注意を向けさせることで、聴覚刺激には非注意となる対照条件課題となった。これにより、P50が注意を必要としない前認知機能を反映していることを証明することができた。同様に、平成16年度は統合失調症患者に同一課題を行う予定である。 平成15年度は、300msec.感覚ではP50を同定できたが、これより短い刺激間隔ではほかの大きな電位が混入(オーバーラップ)するため、平成16年度はこの混入電位の除去方法を研究する予定である。 また、当初の予想に反してP50の振幅や潜時に個人差が大きかったため、個人差間のばらつきを無くすために、被験者数を増加させ平均化した。 平成16年度には、対象を統合失調症患者に移し、データの収集、分析を行う予定である。
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