うつ病の症状として様々な身体症状がみられることが多く、自殺につながるうつ病を呈する患者の場合も、そのような症状を訴えてプライマリ医療につながっている場合が多いことが指摘されている。スウェーデンのゴッドランドで成果をあげた試みに、プライマリ医に対するうつ病診断・治療の教育プログラムの実施があるが、中高年世代の自殺予防においてはプライマリ医療におけるうつ病治療の裾野を広げることが欠かせないと考えられる。そこで新潟県における、各診療科医におけるうつ病治療の実態をまず調査し、どのような点からアプローチすることが最も有効であるかという点についてまず検証する目的で以下の作業を行った。 新潟県内における、うつ病に対する薬物治療の現状について調査するため、新潟県医師会に所属する各診療科医師全数(大学、単科精神科病院、精神科病床を持つ総合病院、健診施設、老健、および病理医を除く)約2500名に対してアンケート調査を行った。アンケートの項目は、年齢、性別、経験年数、標傍科、診療施設、うつ病診療の有無、うつ病症状の認識、うつ病に対する処方の実際(処方薬剤種類、薬剤使用上限量)、効果判定のため薬剤を上限量で投与する期間、再燃防止のため薬剤を上限量で投与する期間、投与中断となった副作用、薬物療法に際しての説明項目、うつ病患者の他医への紹介の有無、うつ病患者の他医への紹介に際しての困難、うつ病患者を他医へ紹介する目安となる症状、不定愁訴患者の症状、うつ病診療に関する自由意見、である。アンケート実施時期が遅れたため、回収はほぼ終了したが、データの集計および分析は現在実施中である。
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