1.新潟県内のうつ病治療におけるプライマリケアに従事している医師のうつ病治療の実態に関するデータの分析を行った。アンケート回収数は903通(36.3%)であった。回答者のプロフィールは男性807名、女性93名、無回答3名、年齢は28-95歳、平均55.81±12.10歳、経験年数は21-25年が168人と最も多かった。内科を標榜あるいは担当する方が452名と最も多く、次いで小児科158名、消化器科・胃腸科154名、外科107名、整形外科87名であった。診療施設は、診療所・クリニック・医院が452名と最も多く、次いで法人病院163名、公立病院113名、法人診療所111名、個人病院21名であった。回答者を精神科・心療内科などの専門科群(以下専門科群)32名とそれ以外の診療科群(以下プライマリケア群)870名とに分けて比較検討を行った。うつ病の90%をスクリーニングできる二質問法の項目については、プライマリケア群では、抑うつ気分を6割が挙げているのに比して、興味・喜びの喪失は5割未満しか挙げられておらず、専門科群が両者とも9割弱で挙げていたのと比較して、有意に低かった。プライマリケア群で双方の症状とも挙げていたのはおよそ5割で、どちらの症状も挙げていないのは2割強であった。専門科群では、双方の症状とも挙げていたのはおよそ9割で、どちらの症状も挙げていないのはおよそ1割であった。うつ病・うつ状態への処方は、プライマリケア群の4割強、専門科群の9割強がスルピリドを用いており、いずれも最多であった。プライマリケア群では続いて、フルボキサミン、パロキセチンが共に4割弱で用いられていた。専門科群ではフルボキサミンが9割弱で、8割台に三環系抗うつ薬三剤が並びパロキセチンは8割弱となっており、トレドミンはプライマリケア群では1割強のみしか用いられておらず、専門科群でも7割強に留まり比較的低い数字であった。 その他の結果を分析して、2005年日本プライマリケア学会において発表予定である。 2.県内の企業におけるメンタルヘルスの状況について調査した。アンケート回答数は830通(51.9%)であった。データ解析は現在進行中である。
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