(1)GSを合併する統合失調症患者の脳の形態的変化の特徴の画像的研究 対象者:45歳以下のDSM-IVで統合失調症の診断基準を満たす患者(30名)と、統合失調症と診断されGSを合併する患者(30名)。正常対照群(30名)。性比と年齢はマッチさせる。 検査項目:MRIおよびMRS。 解析:両群間での大脳皮質、大脳基底核、海馬、視床、小脳の体積について3次元的に比較検討する。また、大脳基底核、海馬におけるエネルギー代謝、リン脂質代謝についてMRSを用いて比較検討する。 結果:MRIおよびMRSでの検討の結果GSを合併する統合失調患者では大脳皮質、大脳基底核、海馬、視床、小脳において神経発達障害の程度が強いことが示唆された。また前部帯状回、視床、島皮質においても同様の検討を行い、同様の結果が得られた。 (2)Gunnラット(先天的非抱合型高ビリルビン血症ラット)の脳組織学的研究 方法:Gunnラット(10匹)、正常コントロールとしてJcl : Wistar系ラット(10匹)を用い、肉眼的形態変化の観察、光顕レベルで大脳皮質、海馬、小脳皮質での特徴的変化の有無を検討する。 研究項目:肉眼的に脳室の拡大、海馬の萎縮などの存在を調べる。HE、Nissle染色に加え、NADPH-d、NCAM、Wntなどの神経発達に関係する分子に対する抗体を用いた組織化学的方法を用いる。 解析:神経発達障害に関して、精神分裂病死後脳の知見とGunnラットに見られる形態変化の共通点を検計する。 結果:Gunnラットでは大脳皮質、海馬、小脳皮質において神経細胞やグリア細胞の数が減少していることが明らかになった(論文作成中)。
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