研究概要 |
統合失調症(精神分裂病)の成因仮説のひとつは、胎生期における中枢神経系の発達障害によるというものである(神経発達障害仮説)。近年、統合失調症の死後脳において前頭前野などでreelinのmRNAと蛋白量が減少していることが報告された。そこで、研究代表者は神経発達障害仮説にもとづき、reelin関連遺伝子に着目し、reelin関連遺伝子は統合失調症と関連しているとの仮説を立てた。 今年度はreelin関連遺伝子のうちかfyn遺伝子とApoER2遺伝子を対象として統合失調症との関連を検討している。その結果fyn遺伝子については関連を見出すことはできなかった。ApoER2遺伝子については、5'-UTRにある3塩基(CGG)繰り返し配列(triplet repeat (CGG)n)を発見した。これについてGene Scanプログラム(Applied Biosystems)を用いて調べた。しかし多型性は見られなかった。つぎにNCBIのhuman genome databaseで報告されているApoER2遺伝子のエクソン2、7、8、9、11にある5個のexonic SNPs(エクソン領域のSNPs)を選んだ。PCRとgenotyping by Gene Scan software, SNaPshot Multiplex Kit(ABI prism genetic analyzer)を用いてそれぞれについて遺伝子型の決定を試みている。またその結果をSNP Alyze V3.1(DYNACOM)を用いて関連の有無、連鎖不平衡を統計学的に検討している。
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