気分障害の薬物反応性関連遺伝子ならびに疾患脆弱性遺伝子の検討

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15790639
• 研究機関: 藤田保健衛生大学
• 研究代表者: 北島 剛司 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (40360234)
• キーワード: 双極性障害 / セロトニン / 変異検索 / 関連研究 / 薬物反応性 / セロトニン受容体 / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / 大うつ病性障害

研究概要

1.ドイツで双極性障害と関連が報告されており各種抗うつ薬・非定型抗精神病薬の直接的・間接的標的であるセロトニン3A受容体遺伝子について、DHPLC法・サイクルシークエンス法を用いて変異検索を行った。exon1に3個、exon2とその近傍に3個、exon9に3個の合計9つのSNPを同定し、そのうち6個が未報告のものであった。
2.多施設共同研究で得られた双極性障害522人と健常対照群636人の検体に対して、上記で同定された3A受容体遺伝子のSNPのうち4つにつき、PCR-RFLP法にてgenotypingを行い、個々のSNPについて患者群と対照群につき関連解析を行い、更にそのうち連鎖不平衡のみられる3つのSNPにつきハプロタイプ解析を施行したが、有意な関連は認められなかった。
3.当院を受診したDSM IVで診断された54人の大うつ病性障害の患者に対して選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるFluoxamineを投与し、投与前と投与8週後のハミルトン抑うつ評価尺度(HAM-D)の得点を評価すると共に、遺伝子検体を得て薬物反応性との関係が推測されるセロトニントランスポーター、セロトニン2A受容体、セロトニン3A受容体のSNPについてgenotypingを施行した。HAM-Dの得点変化から反応・非反応群に分けて関連解析を行ったが、いずれのSNPにおいても有意な関連は認められなかった。
なお、研究補助金は上記のDHPLC法、サイクルシークエンス法、RFLP法、これらの基礎となるPCR法を行うための試薬などの消耗品の購入に活用された。

研究成果

• [文献書誌] Kitajima T, Kanbayashi T, Saito Y, Ogawa Y, et al.: "Diazepan reduces both arterial blood pressure and muscle sympathetic nerve activity in human"Neuroscience letters. 355(1-2). 77-80 (2004)
• [文献書誌] Suzuki T, Iwata N, Kitajima T, Ozaki N, et al.: "Association of Novel Genetic Variants in the Serotonin 5-HT4 Receptor Gene (HTR4) with Japanese Schizophrenia."Am J Med Genet.. 121B(1). 7-13 (2003)
• [文献書誌] Yamanoushi Y, Iwata N, Suzuki T, Kitajima T, 他: "Effect of DRD2,5-HT2A, and COMT Genes on Antipsychotic Response to Risperidone."The Pharmacogenomics Journal. 3. 356-361 (2003)
• [文献書誌] Arinami T, Kitajima T, Yamanouchi Y, Iwata N, et al.: "Initial genome-wide scan for linkage with schizophrenia in the Japanese Schizophrenia Sib-pair Linkage Group (JSSLG) families."Am J Med Genet.. 120B. 22-28 (2003)
• [文献書誌] Kusunoki K, Kitajima T, Ozaki N.: "Does quazepam influence sleep and daytime activity in health adults?"Sleep and Biological Rhythms. 1(2). 171-172 (2003)
• [文献書誌] Ogawa Y, Kanbayashi T, Saito Y, Kitajima T et al.: "Total Sleep Deprivation Elevates Blood Pressure through Arterial Baroreflex Resetting - A Study with Microneurographic Technique."Sleep. 26(8). 986-989 (2003)