基盤となる事項として、対象となる統合失調症患者への本研究に対する説明と同意を行いRisperidone投与プロトコールに従い、背景情報・症候学的データ(効果・副作用)を収集した。従前収集した73例に加え、本年度は26症例を収集した。全例より末梢血採血を行い大学内P2設備内にて、EBウイルス感染により、サンプルよりリンパ球株化を行った。株化したリンパ球よりDNAを抽出・精製し多型同定に使用した。 候補遺伝子上の多型同定として、本年度は既存収集した73例を対象にセロトニン2A受容体遺伝子・ドーパミン2受容体遺伝子・カテコール-0-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の既知の遺伝子多型5つをRFLP法および/またはDHPLC法にて全対象の遺伝子型の同定した。対象ごとの遺伝子多型と臨床情報との関連を、ハプロタイプ解析を含めた検討を重回帰分析にて行った。結果、ドーパミン2受容体遺伝子多型の特定のハプロタイプが投薬による臨床効果を予測しうるものであると結論し、発表した。 また、今回の研究を行うにあたり、非定型抗精神病薬の薬理遺伝学の動向に関する総説を発表した。
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