研究概要 |
種々の濃度のフェルモキシデス溶解液,脂肪の入った自作ファントムを作成し,MRIでの最適撮像パラメータおよび最適濃度を求めた。その結果,グラディエントエコー法において(1)くり返し時間は長いほど溶解液の信号はわずかに高かったが大きくは影響しない,(2)エコー時間は長いほど溶解液,脂肪の信号は低下するが,その信号差はエコー時間が4.2ミリ秒付近で最も大きい,(3)フリップ角は大きいほど溶解液,脂肪の信号は高いことなどが判明した。 15名の乳癌術前患者にフェルモキシデス1.5mlを乳房内投与し,MRPフォグラフィーを撮像した。撮像方法はスピンエコーT1強調,高速スピンエコーT2強調,グラディエントエコーT2強調などを用いた。ファントム実験どおりグラディエントエコーT2強調にて最も鋭敏に描出した。エコー時間は4.2ミリ秒と9ミリ秒を試したが,描出能はほぼ同じであった。 15例中,腋窩リンパ節へのフェルモキシデスの取り込みが描出されなかったのは1例で,14例では取り込みが描出された。センチネルリンパ節への平均到達時間は17.2分,非センチネルリンパ節への平均到達時間は90分であった。 MRリンフォグラフィーにて取り込みがみられたリンパ節の数は1例あたり平均2.7個であった。手術中にラジオアイソトープ法にて同定されたセンチネルリンパ節の数は1例あたり平均2.5個であった。MRリンフォグラフィーで取り込みがみられたリンパ節の数と,手術中にラジオアイソトープ法にて同定されたセンチネルリンパ節の数は近似していた。
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