研究概要 |
既存の装置にてsensitivity encoding(SENSE)併用3D-MRDSAを撮像し、描出能を検討した。対象は説明の上同意が得られた患者20名(男性9名、女性11名、年齢40-75歳、平均57.9歳)の21病変(動脈狭窄・閉塞4例、髄膜腫4例、血管奇形3例、hypovascular lesion10例)。既存のMRI装置(philips社製Intera 1.5T Master)と4チャンネルフェーズドアレイコイルで、SENSEとhalf-Fourierを併用し3D-MRDSAを撮像した。撮像シーケンスは3D-FFE(three-dimensional fast-field-echo)、パラメーターはTR/TE:3.1/1.1msec,FOV(field of view):300mm, Matrix:256×256,Slice thickness:2mm,SENSE factor:4.撮像開始と同時に造影剤10mlを肘静脈より急速静注し、2.8秒ごとに60秒後まで撮像した。得られた画像をwork station上でsubtractionし、MIP(maximum intensity projection)処理して3D画像を作成し、正常血管の可視性を1:見えない(FOV範囲外も含む)、2:部分的にsegmentが見える、3:すべてのsegmentが見える、の3段階に分類した。正常血管や病変部についてCNR(contrast-to-noise ratio)も計算した。 正常血管の可視性は平均2.4点で、ICAなどの太い血管は高値(2.9)、前/中大脳動脈(A3/M3)などの細い血管では低値(1.6,1.7)を示し、大きい静脈も高値を示した。また、ICAのCNR(42.4)はA2/M2(26.7)より有意に高値で(p<0.05),病変部の血管やhypervascular lesionの可視性は2.6、hypervascular lesionのCNRは45.0であった。 2Dに比べ3DでMRDSAを撮像すると、画質を維持しつつ任意の方向で観察でき、病変と正常血管の重なりを避け詳細な診断が出来る。今後は時間・空間分解能の最適化、頭部専用コイルおよびソフトウェアの改良が課題である。
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