遺伝子治療における導入遺伝子の発現を非侵襲的に評価する方法の開発を目的として、心臓移植をモデルとし、移植心に免疫抑制遺伝子を導入し、その免疫抑制遺伝子の発現レベルを非侵襲的にイメージングすることを計画した。本年度は、昨年度構築した治療遺伝子であるvirus interleukin-10 (vIL-10)とレポーター遺伝子である変異型dopamine D2 receptor (D2R)を同時に発現するベクターのin vivoでの評価を行った。まず、vlI-10が分泌性のタンパク質であるためにその発現場所を特定することが困難であることを考慮して、vlL-10の代わりにluciferaseを発現するベクターを構築した。マウスおよびラットの尾静脈よりベクターを投与し、生物発光イメージング装置を用いて、luciferaseの発現部位をイメージングし、ついでSPECT装置と放射性薬剤である[^<123>I]IBZMを用いて変異型D2Rの発現部位をイメージングした。その結果、luciferaseと変異型D2Rの発現が同じ部位でおこっていることを認めた。次に心臓にベクターを導入し、同様の方法によりluciferaseと変異型D2Rの発現部位をイメージングした。その結果、luciferaseと変異型D2Rの発現部位が同じ部位であることがイメージングできた。 以上の検討により、構築した発現ベクターと放射性薬剤を用いることにより、核医学的手法により、導入遺伝子の発現をイメージングできることが示唆された。
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