本研究で開発した新規放射性アスコルビン酸誘導体のうち、^<131>I-DIAについて、各種病態モデル動物生体内挙動の評価を行った。前年度において得られた健常ラットにおける^<131>I-DIAの放射能分布実験についてさらにを詳細に検討したところ、投与後60分において副腎に14%dose/gの高い集積があり、副腎/肝臓比で約10、副腎/腎臓比で約7と選択的な分布を示すことが明らかとなった。副腎機能は生体におけるストレスと関連しており、脳下垂体より分泌される刺激ホルモンの影響を受けやすいことから、脳機能診断への展開との関連性が高い。そのため、さらに詳細に副腎集積性について詳しく調べることにした。4-APPを前投与した副腎機能亢進モデルラットにおいて、副腎への放射能集積は顕著に増加した。また副腎皮質機能亢進モデルとしてY1細胞移植マウスにおいてY1細胞に高い集積(9%dose/g)を示した。副腎髄質機能亢進モデルとしてPC12細胞移植マウスにおいても、高い集積を示した。このことから少なくとも^<131>I-DIAが、副腎機能を反映する新しい診断薬剤として大きな可能性を有することが明らかとなった。脳機能との関連性については、さらに詳細に検討する必要があると考えている。比放射能が分布に影響を与えることも判明したので、高比放射能な合成条件の検討を行っている。 一方で、前年度に開発したdehydro^<18>F-DFAの生体内分布について、仮説どおりGLUTを介した細胞移行が行われているかどうか、deoxyglucose同時投与による分布を調べたところ、ある程度はGLUTを介した取り込みであることが示唆されたが、その割合は高くはなかった。このため、生体内においてよりGLUTを認識しやすい化学型に変化すると予想される新たなdehydro^<18>F-DFA異性体のデザインを行った。種々の合成条件を検討中である。
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