研究概要 |
基礎実験として,今年は動物実験を主に行った.ウサギの頸動脈を露出し,血管造影の手技で左大腿動脈にガイドワイヤーを進め,バルーンカテーテルを膨らませたまま,血管内皮を削るように1〜2回引き戻した.高コレステロール食を与え,4週間後にCTを撮影した.耳静脈から23G翼状針でルートを確保し,非イオン性ヨード系造影剤150を0.5ml/secで14ml注入した.注入開始,9秒後に腹部大動脈から両大腿動脈にかけて撮影した.同時期に数例で血管造影も行った.屠殺後,両側大腿動脈を摘出し,ホルマリン固定後に顕微鏡的観察を行い,ソフトプラークの有無を調べた.血管閉塞による壊死症例,麻酔,検査中の死亡症例を除いた.CTによるMIP像,CMPR像にて左総外腸骨動脈・左大腿動脈における狭窄はほぼ全例で描出できた。50%以上の狭窄では血管造影の所見と一致していた.CMPR像にて70%以上の強い狭窄をしめす部位周囲には低吸収域がわずかに見られ,CT値は約20HUほどであった.同部位の顕微鏡的観察では脂肪成分を多く含む,ソフトプラークがみられ,70%以上の強い狭窄をしめす程にソフトプラークがみられるとCTでも観察できることがわかった.しかしこの他の部位にも顕微鏡的観察では多数のソフトプラークが見られており,50%以下の狭窄ではCTでの観察には限界があることもわかった.臨床症例については本年度は十分に蓄積できなかったが,来年度に循環器内科と共同で症例解析をすることとなっている.
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