研究概要 |
<研究の背景と目的>肝動注化学療法における留置はGDA-coil法がstandardであるが,マイクロカテーテルやコイルが使用不可欠である.本研究の目的はGDA-coil法と同等,かつマイクロカテーテルやコイルが不必要なカテーテルの開発である. <カテーテル開発>外径は5Fr.とし先端にナイチノールを約20cm埋込み螺旋状の形態を作成し,カテーテルそのものが塞栓と固定の両方の役割を果たす. <評価In vitro試験>先端のコイル形状を外径6mm,コイル展開長を24cmとし試作カテーテル作成に成功したためIn vitro試験をおこなった.方法は(1)血管を想定した軟質チューブ内にガイドワイヤーとカテーテルを挿入(2)ガイドワイヤーの先端をコイル部の途中までひく(3)カテーテル先端部をガイドワイヤーとともに押し込む(4)(1)(2)の操作を繰り返しチューブ内のコイル形状と生理食塩水を注入し塞栓効果を評価する.結果チューブ内では密なコイル形状は不可能であり塞栓効果は得られなかった. <カテーテルの改良と試験>密なコイル形状を得るため径を6mmから4mmに,コイル展開長を24cmから20cmに改良し実験を継続.結果コイル形状,カテーテル挿入性ともに改善が認められたが,ガイドワイヤーの挿入性や操作性の低下は認めなかった.カテーテル留置のみに関しては可能と判断されたが,留置後の塞栓効果に関しては生理食塩水の流速低下は証明されたものの停滞までには至らず,塞栓効果に関して疑問が残った.このため粘調度の高い造影剤を使用し血管撮影装置を用いて比較検討した.造影剤の使用にても流速停止は不可能であった.さらなる改良のためメーカー側とも協議を進めたが,さらに小さい巻きのコイル形状は困難であり想定したカテーテル開発は現段階困難と判断した. <まとめ>留置カテーテルのみで塞栓効果を得ることは技術上不可能であった.しかし固定に関しては問題ないため,今後さらなる技術面の向上により,他のデバイスを必要としない留置カテーテルの登場は可能と推察された.
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