培養肝細胞を使用し、活性型小型肝細胞を得た。全肝再生置換細胞移植方法として体外放射線照射を行い、これに先の活性型小型肝細胞の移植を行った。さらに高効率化を目指し、選択的門脈結紮術を施行した。コントロールには新鮮分離肝細胞を使用した。現在までに新鮮分離肝細胞を使用した肝細胞移植では3ヶ月後の検討で肝臓の再生置換ならびに脾臓の肝臓化に成功した。残念ながら活性型小型肝細胞による移植では新鮮肝細胞移植のものと比較してこれまでのところ十分な移植効率を得ていない。選択的門脈結紮による肝再生刺激の影響は、必ずしも肝再生置換を促進するような結果を得ていない。本年度では細胞移植方法の確立を行い、その結果、従来言われていた様に肝再生刺激は必ずしも肝再生置換に必要ではない事が判明した。さらに活性型小型肝細胞移植では、ある程度の肝再生置換が可能である事が判明した。現在、この活性型小型肝細胞移植で実際にどの程度の蛋白合成能や代謝機能を発現できるかをアルブミン欠損ラットと高ビリルビン血症ラットを使用し検討中である。さらに詳細な再生置換された肝臓組織を検討するとグリソン領域から再生置換がおきているが一様に肝細胞索に沿った肝細胞増殖が観察され、再生置換できる細胞群が存在し肝臓の幹細胞である可能性が高い。これは活性型小型肝細胞由来であり、性状などの検討を行い細胞分離マーカーを同定するのを次年度の目標にしている。
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