研究概要 |
(目的) 当該研究課題では甲状腺未分化癌細胞株において,(1)メチル化の制御を受けている,proteaseあるいはprotease inhibitorの候補を網羅的に同定する.(2)候補遺伝子のプロモーター領域についてメチル化の状態を解析する.(3)甲状腺未分化癌におけるこれらの遺伝子の発現状態を免疫組織学的に検討する.(4)脱メチル化剤,あるいはHDAC阻害剤の接触実験により,これらの分子標的治療薬としての妥当性を検討する.(5)各種プロテーゼ阻害剤についても同様の接触実験により,分子標的治療薬としての妥当性を検討する. (結果) 1.プロテアーゼ関連では,serine protease inhibitor familyのmaspinについて解析し,各種悪性腫瘍の粘液形質との関連が示唆された. 2.分子標的治療薬では,COX-2 inhibitorを用いた解析では,未分化癌における効果が実証され,これまで有効な治療法の存在しなかった未分化癌の新たな治療戦略となる可能性が示唆された. 3.メチル化・アセチル化関連では,細胞周期関連蛋白質のCheck-2がTSA処理によって過剰発現し,epigeneticな制御を受けている可能性が示唆された. (方向性) 甲状腺未分化癌は,有効な治療法のない難治性の代表的悪性腫瘍である.本研究課題の成果により,COX-2の阻害剤や脱アセチル化酵素阻害剤といった分子標的治療剤によるに治療戦略の可能性が示唆された.
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