【目的】細胞障害性T細胞(以下CTL)はウイルス感染細胞の除去に重要な役割を果たしておりHCV感染細胞の除去に関与している。移植後のC型肝炎再燃に関しては、細胞性免疫が重要な役割を演じていると考えられ、HCV特異的CD8T細胞は移植後肝炎の予後決定に多大な影響を与えていることが予想される。しかし、免疫抑制状態でのHCV特異的CD8T細胞の解析はほとんどなされておらず、C型肝炎発症の免疫機序の研究における貴重な臨床症例であると考える。そこで今回我々はHCV感染例に対する肝移植前後でのHCV特異的CD8T細胞を肝内、末梢血より検出した。 【方法】HCV全領域を発現するワクシニアウイルスを用いて患者末梢血単球(以下PBMC)(慢性肝炎、急性肝炎、移植ドナー、移植レシピエント)からCTLクローンを単離しクローンの性状解析を行った。CD8陽性メモリーT細胞のみをマグネティックビーズを用いて単離した。患者PBMCにEB virusを感染させB細胞株(BLCL)を作製し組み換えHCV全領域を発現するワクシニアウイルスに感染させたものをtarget cellとしてCR51 release assayにより細胞障害性活性を測定しスクリーニング、クローニングを行った。また一部の患者で、単離したCTLクローンはBLCLのパネルを用いてHLA拘束性を同定した。さらにオーバーラッピングペプチドによるエピトープの同定を行った。【成績】移植後患者で、ドナーに対するCTLが誘導できた。しかし、慢性肝炎患者ではCTLが誘導出来なかった。また一部の患者でNS3領域を認識するCTLクローンが単離された。またこのCTLクローンはHLAくSUP>^*</SUP>A1101に拘束されることが解った。【結語】移植後のC型肝炎再発には、急性肝炎の機序に類似した免疫応答がされている可能性が示唆された。
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