ヒト消化器癌に直接機能する新規転移関連遺伝子の同定と転移制御

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15790722
• 研究機関: 札幌医科大学
• 研究代表者: 西森 英史 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70336402)
• キーワード: 膵癌 / 胃癌 / 肝転移 / 腹膜播種 / リンパ節転移 / 遺伝子解析 / 動物モデル

研究概要

我々がこれまでに樹立したヒト胃癌細胞株3line(1lineは、それぞれ親株、高肝転移株、高腹膜播種株のセット)およびヒト膵癌細胞株5lineの細胞バンクから、肝転移あるいは腹膜播種能の最も強いHPC-4H4(高肝転移株)とHPC-4P4a(高腹膜播種株)を用いた.親株(HPC-4)を含めた3種類の細胞株からそれぞれmRNAを抽出し、cDNAを合成した.現在、合成したcDNAを哺乳類細胞発現ベクターの中に組み込み、それぞれのcDNA libraryを作製中である.
また低転移性であるヒト膵癌細胞株panc-1(親株)より高肝転移株panc-1H5および高腹膜播種株panc-1P4aを樹立し、それぞれの細胞株の転移率、腫瘍増殖能、運動能、接着能、サイトカイン産生を検討し、肝転移および腹膜播種に関わる生物学的形質を解析した.さらにそれぞれの細胞株に対し、cDNA macroarray(既知遺伝子のみがプロットされた市販array)を用いた遺伝子発現解析を行い、親株と高肝転移株および高腹膜播種株を比較検討することにより、肝転移および腹膜播種形成に関わると推察される遺伝子を同定した.将来的に本研究課題において同定されると予想される新規遺伝子との関わり等、転移形成に関わる機能解析を行う予定である.

研究成果

• [文献書誌] Tanaka H, Hata F, Nishimori H, et al.: "Differential Gene Expression Screening Between Parental and Highly Metastatic Pancreatic Cancer Variants Using a DNA Microarray"J.Exp.Clin.Cancer Res.. 22. 421-427 (2003)
• [文献書誌] 西森 英史, 平田 公一: "動物モデルを用いた転移関連遺伝子群"医学のあゆみ. 266. 242-245 (2003)
• [文献書誌] Ohno K, Hata F, Nishimori H, et al.: "Biological properties and differential gene expression profiles in established highly liver or peritoneal metastatic cell lines of human pancreatic cancer"J.Clin.Exp.Cancer Res.. 22. 623-631 (2004)
• [文献書誌] F.Hata, H.Nishimori, T.Yasoshima et al.: "Profiling Analysis of Differential Gene Expression Between Hematogenous and Peritoneal Metastatic Sublines of Human Pancreatic Cancer Using DNA chip"J.Clin.Exp.Cancer Res.. (in press).