1.予後予測因子としてのRT-PCR法による末梢血遊離癌細胞検出解析の改良 担癌患者末梢血液を用いて、CEA特異的プライマーを用いたRT-PCR法による血中遊離癌細胞の検出を行い、また原発巣においては、sLeX、sLeA発現解析を免疫組織学的に行った結果、同時肝転移症例で67%、手術時非肝転移症例では23%において血中微量癌細胞の存在が示唆された。sLeX及びA発現は同時性肝転移症例で93%及び60%と高頻度で、一方、非肝転移例では35%と26%低頻度で、これら結果を組み合わせることにより、肝転移再発の予後予測因子として有用性が示唆された。今後、特に手術時非肝転移症例での経過観察をしていく予定である。 2.胃癌における血清DNA断片を用いた各種遺伝子プロモーターのメチレーション解析 胃癌患者を対象に、末梢血清より遊離DNA断片を抽出し、p16やE-cadherin遺伝子のpromoter領域hypermethylationを検出するMS-PCR法解析を試みた。その結果、p16遺伝子で18%、E-cadherinでは24%に、各promoterのhypermethylationが検出され、計4割弱の患者において何れかの異常を検出できた。また、βRAR遺伝子についても同様検索を行ったところ、その陽性率は更に上昇した。対照として行なった健常者血清の解析では、これら異常は検出されなかった。臨床病理学的因子との検討では、進行癌症例の検出率が高い傾向にはあったが、早期癌症例でも同異常が検出された。 以上より、末梢血を用いたRT-PCR法やMS-PCR法で、癌存在診断ができる可能性が示唆され、互いに相補的な解析として、術後フォローや治療評価判定等に応用できる可能性が示唆された。
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