独自に構築した慶應BACライブラリーより7809クローンを用いて、全ゲノムの約3分の1をほぼ均等にカバーするBAC-DNAマイクロアレイを作製した。これを1枚のスライドガラス上にtriplicateでアレイし、搭載クローン数・品質ともに国内最高級のものを作製した。また、共同研究機関(慶應義塾大学医学部外科教室)より提供を受けているがん組織(食道、胃、肝、胆嚢、膵臓、乳腺)よりがん組織バンクを構築した。これら臨床サンプルをBAC-DNAマイクロアレイを用いて解析を行ったところ、いくつかの遺伝子が、がんで特異的に増減を示していることから、現在詳細に解析中である。またこれらマイクロアレイCGHより得られたデータを判りやすく表示し、変化のあるBACクローンに含まれる遺伝子を容易に参照・解析できるアプリケーションを開発した。 マイクロアレイ実験の問題点であったダイナミックレンジや感度、再現性の改善を図るため、マイクロアレイ用基盤の開発を行い、特許申請を行った(平成16年4月2日付特許出願清水信義、浅川修一、村山裕治、「担持体、物質検出用器具とその製造方法、及び検出方法」)。この技術はメンブレンタイプのサンプル支持体を用いて、蛍光色素などでデュアルカラーでの検出を可能にするもので、マイクロアレイのみならず、すべてのハイブリダイゼーションの検出方法に、RI並みの感度と複数のサンプルの同時検出を可能にするものである。
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