研究概要 |
本研究では,これまでにhMLH1遺伝子転写制御因子の候補として見出したp29を中心として転写因子の遺伝子異常と消化器癌との関係を明らかにする.さらに,p29介在性hMLH1遺伝子転写制御機構を解明することを目的とする。前年度までに,p29は直接DNAに結合しないもののhMLH1プロモーター領域への転写因子の結合を増強することを見出した.本年度は,1)hMLH1プロモーターにおける他の転写重要配列への結合,および,2)p29タンパクとの相互作用の2面からのアプローチにより,DNAに直接結合しhMLH1遺伝子転写制御に関わる因子を検索同定することを計画した. 1.DNAに直接結合する他の転写因子の検索と同定 hMLH1遺伝子転写に重要なタンパク結合部位(FP3,CCAAT-box, FP6)の1つFP6へ結合する因子を同定するために,酵母one-hybrid法を用いた検索を行った.その結果41clonesを得た.これらcloneについて塩基配列を決定しBLAST検索を行ったところ,16clonesで塩基配列が決定でき,13の既知遺伝子(14clones)と機能未知遺伝子ch6ORF145(2clones)が見い出された.これら遺伝子についてDNA結合motifを検索した結果TIF1αがPHD type Zn-fingerを,ch6ORF145がDM DNA binding motifとCHC_2 type Zn-fingerを有していた.引き続き,これらFP6結合候補タンパクのhMLH1転写制御活性の確認を行っている. 2.p29と相互作用する因子の検索と同定 今年度は,1で見い出された2つの候補遺伝子産物とp29との相互作用についての検討には至らなかった.
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