研究概要 |
「体外での肺保存とその評価」 人工酸素運搬体を含有する細胞外液型保存液として人工血液(リポゾーム内包型ヘモグロビン小胞体(HbV))を使用した。保存液のヘモグロビン濃度は0.5、5.0、10.0g/dlと変化させ、また、HbVのP50を5,15,30Torrと変化させた溶液とした。対照の肺保存液として細胞外液型肺保存液EP40を用いた。 雄性日本白色家兎(2kg)108羽を用い、開胸して換気を維持しながら上大静脈、下大静脈を結紮切離し、大動脈をクランプし左房切開を行った。肺動脈より細胞外液型保存液あるいは人工酸素運搬体を含有する保存液でフラッシュした後、心肺を摘出し肺静脈からも逆行潅流を行った。気管より20%O2にて肺の含気を保ったまま気管を結紮切断した。摘出肺を氷温の生理食塩水中で24時間浸積保存を行った。 0.5、1、3、6、24時間後に肺静脈よりフラッシュ液を採取した。また、浸積保存後、肺組織はステープラを用いて3,6,24時間後に採取した。 フラッシュ液より血液ガス、HbV濃度、Hbのメト比率、乳酸値、溶液ATP濃度、末血、生化学分析を測定した。 浸積保存を行った肺は、A.病理組織学的変化、B.組織内NADPH/NADH濃度、C.細胞内ATP,ADP濃度およびNa-K ATP活性 D.細胞内カルシウム濃度を測定し,保存肺のBioavailabilityを評価した。 現在、対照群であるEP40液による保存を行った臓器を用い測定系の精度安定に努めている。血液の残存、含気量の違いにより測定値にばらつきがあるので条件を一定にするよう調整を行っている。
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