研究概要 |
<体外での肺保存とその評価> 我々は肺移植時の肺保存液としての早稲田と共同開発中である人工赤血球溶液(hemoglobin vesicle HbV(リポゾーム内包型ヘモグロビン小胞体))の有用性について研究中である。 予備実験では対照群であるEP40液による保存と人工酸素運搬体を有するヘモグロビン濃度10g/dlのHbVでP50が30Torrの細胞外液型保存液による24時間浸積保存の間には保存肺の病理学的変化、組織内NADPH/NADH濃度、細胞内Na-K-ATP活性、細胞内カルシウム濃度測定により、人工酸素運搬体を有するHbVにBioavailabilityの有意差を認めた。しかしながら、人工酸素運搬体を有する保存液間でのヘモグロビン濃度(0,5、5,0、10,0mg/dl)、それぞれの場合のP50(5、15、30torr)間での有意差を同定することはできなかった。 平成15年度は、雄性日本白色家兎を用い測定系の精度安定に努め、人工酸素運搬体を含有する細胞外液型保存液として人工血液(リポゾーム内包型ヘモグロビン小胞体(HbV))と対照の細胞外液型保存液EP40を用いて体外での24時間浸積保存をおこなったが測定値にばらつきが大きかった。このため16年度はwistar ratをもちいて昨年にひき続き肺保存に至適なヘモグロビン濃度、P50の決定に努めたが、雄性日本白色家兎と同様に測定値に大きなばらつきがあり、至適なヘモグロビン濃度、P50の決定には至らなかった。考えられる原因として動物の個体差、血液の残存、フラッシュの手技のばらつき、含気量の違いがある。
|