生後6ヶ月のミニブタ(20kg)を3頭使用した。耳静脈より点滴ルートを確保し、全身麻酔下に挿管し人工呼吸器管理とした。内頚静脈よりシワンガンズカテーテルを透視下に肺動脈まで挿入し、肺動脈圧をモニタリングした。同時に内頚動脈よりアンギオカットを挿入し、血圧をモニタリングした。検査前の平均血圧は収縮期血圧108.8mmHg、拡張期血圧63.6mmHg、平均84.25mmHgであり、平均肺動脈圧は収縮期肺動脈圧28.3mmHg、拡張期動脈圧13.0mmHg、平均22.5mmHgであった。正常でも動脈圧は高めであったが、これはNO投与によってもまったく変化しなかった。これよりNO投与の有効性は病的な肺高血圧に限り有効であることが推察された。バソプレッシン投与後を0.025IU/minから開始したところ、徐々に血圧の上昇を認めたが0.2-0.3IU/minで収縮期血圧はpeakとなった。その際の平均血圧は収縮期血圧157.3mmHg、拡張期血圧105.3mmHg、平均129.0mmHgであり、平均肺動脈圧は収縮期肺動脈圧28.7mmHg、拡張期肺動脈圧16.0mmHg、平均21.3mmHgであった。この場合もNO投与を行ったが、肺動脈圧の変動は認められなかった。続いてノルアドレナリンを0.002mg/hrより投与したところ徐々に血圧の上昇を認め、0.12mg/hrで収縮期血圧はpeakとなった。その際の血圧は収縮期血圧135mmHg、拡張期血圧82mmHg、平均111mmHgであり、肺動脈圧は収縮期肺動脈圧28mmHg、拡張期肺動脈圧14mmHg、平均21mmHgであった。現時点のデータから推察されることは、正常なブタにおいては、バソプレッシンもノルアドレナリンもともに血圧を上昇させるが、肺動脈圧いはほとんど影響しない(また、NOもまったく影響しなかった)。しかし、その解離はノルアドレナリンよりもバソプレッシンにおいて著明であった。今後は肺高血圧モデルを作製し、同様の薬剤を投与し、肺動脈圧の変化を観察する予定である。
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