肺大細胞癌症例から腫瘍細胞株を樹立し、CTLの誘導効率を上げるために腫瘍細胞に共刺激分子であるCD80遺伝子を移入することによりCD80-transfectantを作製し、自己リンパ節リンペ球と共培養することによりbulk CTLを誘導した。限界希釈法により他家腫瘍細胞にも反応を示す2個の自己腫瘍特異的CTL cloneを樹立した。1つはHLA-A24拘束性に自己腫瘍および他家腫瘍に反応を示し、HLA-A24拘束性に共通抗原を認識していると考えられた。cDNA expression cloning法によりCTL cloneの認識する腫瘍抗原をコードするcDNA cloneを単離し、さらに9-merのエピトープペプチドを同定した。単離したcDNA cloneは3339bpよりなりその中に617アミノ酸よりなるORFを含む既知遺伝子のsplicing variantであった。この遺伝子は正常組織および腫瘍組織にもubiquitousに発現を認めた。もう1つはHLA-Cw7拘束性に自己腫瘍および他家腫瘍を認識しHLA-Cw7拘束性に共通抗原を認識していると考えられた。上記方法によりCTL cloneの認識する腫瘍抗原をコードするcDNA cloneを単離し、9-merのエピトープペプチドを同定した。単離したcDNA cloneは231アミノ酸よりなるunknown geneであり、現在、その機能解析を進めている。 また、肺腺癌症例において腫瘍細胞株を樹立し、自己リンパ節リンパ球と共培養することによりHLA-B15拘束性に共通抗原を認識する自己腫瘍特異的CTL cloneを樹立し、cDNA expression cloning法により腫瘍抗原の同定を行っている。 さらに、2症例の肺癌患者で腫瘍抗原の同定を進めている。
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